トピックス 嚥下障害
嚥下のメカニズムと嚥下障害
進 武幹
1
,
前山 忠嗣
1
,
森川 郁郎
1
,
梅崎 俊郎
1
,
松瀬 敏章
1
1佐賀医科大学耳鼻咽喉科
pp.377-381
発行日 1990年5月20日
Published Date 1990/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900064
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はじめに
食塊は口腔から咽頭,食道を通り,胃まで運搬される。この嚥下の通路では咽頭腔で気道と交差するため,嚥下圧を高めるために,口腔,後鼻腔,喉頭などを一時的に遮断し,食道入口部を開き食塊を移動させる。このような単純な印象をうける嚥下運動を演出する神経・筋機構は複雑である。しかし,ひとたび嚥下が惹起されると時間的にも空間的にもきわめて巧緻な反射系によって制限される。
この働きは延髄の網様体を中心とした反射に加え,上位脳の指令が巧妙にからみ合っていると考えられる。これらのメカニズムのどこかにトラブルが生ずれば当然嚥下障害をきたすことになる。したがって病態の把握には嚥下第2期のメカニズムを理解しておく必要がある。これについてわれわれの研究成果を混じえながら現状と将来の展望について触れる。
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