トピックス 耳鼻咽喉科のリハビリテーション
めまい・平衡障害のリハビリテーション
徳増 厚二
1
1北里大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.257-264
発行日 1989年4月20日
Published Date 1989/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200328
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I.はじめに
身体障害者福祉法による平衡機能障害認定と関連して,平衡機能障害患者が社会復帰するためのリハビリテーション(以下リハと略す)の具体的方法が早急に検討されねばならない。身体運動障害のリハ医学は上田1)によれば,ポリオ,肢切断を対象とした第1期より,脳血管障害,脳外傷後遺症,脳腫瘍手術後の神経麻痺を対象とする第2期へ進み,現在小脳性運動失調2),パーキンソン病,筋萎縮性疾患,末梢神経障害なども扱う第3期に入っている。筋,関節に一次的障害がなく,前庭系,視覚系,深部知覚系,あるいはそれらの中枢の病変で出現する平衡障害と,平衡感覚の異常である「めまい」の運動療法の確立が望まれている。平衡障害リハについては1946年Cawthorne3),Cooksey4)以後,McCabe5),Dix6)をはじめとして,わが国ではその評価法をも含めてTakemoriら7),小島8)などの報告がみられる。
ヒトの乳幼児期に,骨格・筋・神経系の発達とともに繰り返しの運動で直立,歩行が可能になる。さらに小児期の戸外での遊び,青年期のスポーツで平衡機能が向上する。この平衡機能獲得の過程からみて,疾病で生じためまい・平衡障害の回復には,運動訓練が重要な意味を持つと予想される。平衡リハの方法とその評価法の研究の一端として,北里大学病院で急性めまい入院患者に実施した運動療法を報告する。
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