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内視鏡下耳科手術―現況と将来展望
Endoscope-assisted middle ear surgery―Current and future perspectives
欠畑 誠治
1
Seiji Kakehata
1
1弘前大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学
pp.631-639
発行日 2007年8月20日
Published Date 2007/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101125
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Ⅰ.はじめに
内視鏡は視点の移動,視野の変更を可能としたことで医療をはじめさまざまな分野で応用されている。内視鏡が通過できるルートがあれば対象物への接近が可能となり,内視鏡による観察ができる。外界と連続する管腔構造をもつ消化管,尿道・膀胱への使用のみならず,閉鎖腔である腹腔内や胸腔内へも小さな切開創を作製することで内視鏡を挿入することができ,内視鏡は低侵襲手術を可能とする重要な手術支援機器となっている。内視鏡には硬性鏡と軟性鏡があり,それぞれ目的・用途に応じて使い分けられている。ビデオカメラを接続することによって,直接接眼レンズを覗くのではなく,モニター上の映像を見ることができて手術操作も容易となった。また,画像情報の共有により複数の術者による手術が可能となり,より確実な観察・操作ができる。さらにCCDカメラのデジタルズーム機能により拡大視も可能である。その結果,これまで得られなかったアプローチが可能となり手術手技の簡略化が進んでいる。医学のさまざまな分野で,見たい部分を直接的に観察,さらには処置ができる長所を生かした低侵襲手術が開発されてきている。
しかし,耳科手術において内視鏡は手術用顕微鏡に併用されているにすぎない。複雑な3次元構造の把握が必要不可欠である耳科手術において,内視鏡システムの抱える単眼視による立体映像呈示能力の不足,さらに被写界深度が深いことによる視覚的定位能力の不足など,今後解決されなければならない問題点がある。内視鏡のみで行う新たな内視鏡下耳科手術の開発に加え,手術用顕微鏡とのより高度なレベルでの共存が今後重要になると考えられる。
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