綜説—今月の臨床
内視鏡下外科手術—現況と今後の展望
大上 正裕
1
,
渡辺 昌彦
1
,
北島 政樹
1
,
出月 康夫
2
1慶應義塾大学医部外科
2東京大学医学部第2外科
pp.783-792
発行日 1993年6月20日
Published Date 1993/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901185
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Ⅰ.はじめに
1988年よりPerissat, Dubois, Reddickらにより始められた腹腔鏡下胆嚢摘出術は1-3),短期間に爆発的な勢いで普及し,欧米ではすでに胆石症に対する第1選択の治療法として定着した感がある.
本邦においても,1990年5月に山川らにより初めて臨床応用が行われて以来急速に拡がり4),1992年4月の健康保険適用が契機となり欧米と同様に急速な普及がみられている.長い外科の歴史においても,全く新しい手術法がこれだけ短期間の間に全世界に普及するということは,かつてなかったことであろう.脳神経外科や形成外科などでは,すでに顕微鏡下手術が普及しているが,外科の領域において直視下手術ではなくモニター・スクリーンを見ながら手術を行うという全く新しい概念の手術法の登場は,外科の革命とも呼べる出来事である.本稿では,本邦におけるこの内視鏡下外科手術の現況とともに,今後の展望について述べてみたい.
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