昨日の患者
手術室で恐い思いをした話
pp.190
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901947
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最近手術室で起こった全身的なトラブルで,恐い思いをした症例をいくつかご紹介します。
〔その1〕 70歳の女性で老人性白内障の症例です。狭心症の既往がありましたが,最近はおちついていたため手術を予定しました。しかし手術を始めてまもなく胸痛を訴えはじめたのです。強膜半層切開を行ったところで,いったん手術をやめて酸素を吸入させましたが,胸痛は強くなるばかりです。そこで手術の中止を決定,ただちに内科に連絡をする事態となりました。この例は典型的な狭心症発作で,内科でのコントロールの後あらためて手術を行い無事終了することができました。あとで考えてみますと,あの時点で手術を中止したのは正解だったと思います。狭心症のこともさることながら,無理をしてPhacoの段階まで進めていたら,あとの処理に苦労したことでしょう。
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