昨日の患者
アトピー性皮膚炎の患者さん
pp.195
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901950
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最近アトピー性皮膚炎による白内障の患者さんをみることが多い。1か月前位になるが,高校3年生の男子で白内障にて受診した。幼少時からアトピーがあり,現在でも顔面に強い発疹を認めていた。問診の時に白内障の他に,もしかしたら網膜剥離もと考え本人に聞きただしたところ,顔面のあまりのかゆみに耐えきれず,3〜4年前から毎日数時間におよんで顔面を強打していたという。もちろん瞼の上からも叩いていたようで,眼球にとっても相当強い眼打撲になっていたと想像される。視力は両眼とも矯正0.4で,散瞳後スリットで検査を行ったところ,後嚢下に白内障を認めた。三面鏡で眼底をみると,後極から赤道部まで特に異常はみられなかった。そこで圧迫ミラーでさらに周辺部の網膜を観察したところ,両眼とも耳側に約1/4象限にわたる鋸状縁断裂とスリット状の網膜裂孔を認めた。現在入院治療中であるが,アトピーをみた場合には眼底を隅々までみることと,瞼を叩かないよう注意することの重要性を今更ながら痛感した。
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