連載 産科免疫学十二話・6
エイズはなぜ恐いのか—妊娠とウイルス
梅咲 直彦
1
1大阪市立大学医学部産婦人科
pp.864-870
発行日 1992年10月25日
Published Date 1992/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900670
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はじめに
最近エイズ感染が大きな話題となっています。カラスが鳴かない日はあってもエイズの話題が新聞に載らないことはないほどです。また最近驚くようなことがありました。女性の健康のために長期間かけて研究され,開発された低容量ピルが,フリーセックスを助長し,エイズの蔓延につながるという理由で発売認可が延期になりました。ことの評価は別として,国がエイズ感染に非常に神経質になっている証拠です。それもそのはずです。エイズ後進国といわれているわが国においても,1985年には10人程度だった感染者が,1990年には約1,500人と5年間に15倍にも増加しているのです1)。
ところで多くのウイルス感染症がありながら,エイズだけがどうしてこのように騒がれるのでしょうか。
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