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あとがき
坂本 泰二
pp.254
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211716
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今年は暖冬と予想されていましたが,その予想以上に温かい師走を迎えております。昨年は,日比谷公園の凍った噴水を見ながら歩いた覚えがありますから,よほど寒かったのでしょう。それが嘘のような冬の陽気です。
さて,今月の特集は「緑内障治療の副作用・合併症対策総ざらい」です。私が大学を卒業した1980年代は,緑内障の治療法は限られており,その効果も限定的でした。そして,私自身が緑内障という学問を理解してなかったせいか,その後のさまざまな治療法の出現を予想できませんでした。私が間違っていたことは,現在さまざまな薬や手術法が出現していることからも明らかです。今や緑内障は眼科学の花形ともいえる領域になっています。一般に,治療というのは,生体に不自然な状況を強いるわけですから,当然意図せざる影響,つまり副作用が出てきます。短期的な治療では顕在化しない副作用でも,長期治療が必要な緑内障においては深刻な影響を及ぼすこともあります。ですから,緑内障治療においては,副作用を知ることがことのほか重要なのです。特に新しいチューブシャント手術は,短期的な管理を大幅に改善しましたが,長期的な成績や副作用は十分にはわかっていません。本号では,その点について,斯界のエキスパートにより詳しく解説されているので,理解の一助になるでしょう。
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