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特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その7)
学術展示
Nanophthalmosに中心性漿液性網脈絡膜症を合併した1例
A case of nanophthalmos with central serous chorioretinopathy
福与 貴秀
1
,
勝又 俊二
1
Takahide Fukuyo
1
,
Shunji Katsumata
1
1東北大学医学部眼科学教室
pp.994-995
発行日 1983年7月15日
Published Date 1983/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208981
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- Abstract 文献概要
非裂孔原性網膜剥離が合併したnanophtalmosの報告は比較的多数あるが,その螢光眼底所見については,数例の報告を見るにすぎない。今回,そのような症例で,螢光眼底撮影上,中心性漿液性網脈絡膜症に見られるような,噴出型色素漏出像を呈した1例を経験した。症例は36歳の女性で,約半年間続いた過労の後,右眼に変視と霧視とを自覚し,1982年3月29日当科初診となった。家族歴に両親の血族結婚と同胞1名の強度遠視がある。
初診時所見:視力右0.01(0.1×+20D),左0.05(0.1×+16D)。角膜径は両眼10.5×10mm。前房はやや浅く炎症所見なし。隅角はGrade 3(Shaffer)の開放隅角。虹彩,水晶体,硝子体には異常なく,眼圧は右12,左14mmHg。両眼底とも,偽視神経乳頭炎の像を呈し,血管の努張,蛇行,反射尤進も見られた。右眼底には視神経乳頭から黄斑部にかけてretinal foldが存在し,下方のvascular arcadeを越えて嚢胞状網膜剥離が見られた。裂孔は発見されず,体位変換による網膜下液の移動もなかった。周辺の脈絡膜は腫脹し,検眼鏡的に容易に鋸状縁が観察できた。左眼底にはその他の異常は認められなかった。
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