連載 螢光読影シリーズ・2
網膜静脈分枝閉塞症
横地 圭一
1
1群馬大学医学部眼科学教室
pp.519-522
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207628
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司会 網膜静脈分枝血栓症branch occlusion of reti-nal vein,通称Astthromboseは,かなり頻繁に外来で遭遇する疾患ですが色々問題があり,特に視力の予後などを考える場合は,症例ごとにそれぞれの特殊な事情を検討する必要があります。今日は少し変わつた症例を用意してもらいました。まずその大体を話してもらいましよう。
H.M. 患者(52-5053,K.N.,F 52-956)は60歳の女子で,約20日前から自覚している左眼の霧視と傍中心暗点を主訴として来院しました。視力は右0.9(1.2×+1.0D),左0.02(0.04×+1.5D)。初診時の血上圧は190/110mmHgでこれは現在治療中です。眼圧は左右とも14mmHg,前眼部には特に異常はなく,軽度の初発白内障が両眼にあります。左眼の眼底所見ですが,上耳側静脈の支配領域に火焔状の出血があり,その中に軟性白斑を数個含んでいます。出血は黄斑部にまでかかり,黄斑部は浮腫状で黄斑部の下方から乳頭側にかけてcircinata様に硬性白斑が出ています。
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