故中村康教授追悼号 談話室
ロンドン便り抄(その1)
中島 章
1
,
佐藤 勉
1順天堂大学
pp.717-719
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206034
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9月19日
お元気ですごしですか。私もあとロンドン上陸を待つばかりになりました。私の乗つて居るカントン号以後の英船はスエズ運河国有の件のためにケープタウンを廻る事になり,英仏人のパイロツトはスエズ運河から引揚げてしまいましたから,私は全くすべり込みとゆうわけです。スエズでの上陸は許されないと思い,カイロ行きはすつかり断念して居ましたところが,9月14日の夜船がスエズに着くとエジプト人が乗込んで来て,上陸が出来るとゆうので,早速手続をしました。エジプト人は特に日本人には大変好意的で親切に見物について説明してくれました。
15日早朝上陸して砂漠を80〜90キロメートルの速度でドライヴしてカイロに入りました。有名なカイロの博物館で例のTout Ankh Amenの遺物をみて,その精細な古代文化に全く驚きました。午後Tobgy教授のプライベートオフイスを訪ねました。Tobgy教授は非常に親切で野寄君のhand funds cameraの話をした所が,出来るだけ早く1台送つてくれ,3月のエジプト眼科学会で報告して宣伝してやると言つて居りました。角膜刀と前戻手術の本とその英訳とを贈呈しました。教授が患者を見終えるのを待つて町のレストランえ行き,純エジプト料理を御馳走になりながら色々話をしました。久しぶりでおいしいエジプト米を喰べながら,三井さんがエジプトえ来られた時の話なでを聞きました。
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