談話室
盲人福祉その他—続ロンドン便り そのⅡ
中島 章
1
Akira Nakajima
1
1順天堂大学眼科
1Dept. of Ophth., Juntendo University, School of Med.
pp.903-906
発行日 1959年5月15日
Published Date 1959/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206680
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1.まえおき
大部分の眼科医は,「盲人福祉?それは医者のやる事じやない。厚生省か一部の篤志家のやる事」だと考えて居るに違いありません。しかし,「旨人福祉?それは眼科医と全く無関係だ」と思つて居る人は恐らく余り多くないと思います。まして,盲人福祉などと云う問題は不必要だと考えている眼科医は一人も存在しないだらうと確信しています。しかし,日本での盲人福祉の現状を知つて居られる眼科医の方は案外少いのではなかろうか,と自分の経験から推量して見て居る次第です。
1957年のOxford congressで,The Reha-bilitation of the Blind and Partially sighted(盲人及び部分盲の更生)と云う題のもとにdis-cussionが行われた事は,私には非常に興味もあり,又此の問題を考える良いきつかけになつた様に思われます。この様な問題が学会で取り上げられた事自体がイギリスの眼科医は全体ではないまでも此の問題にかなり強い関心を持つている事を示しているものと考えて良いでしよう。確かにこれから述べる様に,盲人福祉の問題は我々の眼疾に対する治療能力が未だ全能でない今日では直接臨牀とつながつた問題だと云つて良いでしよう。
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