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I.緒言
若年者の緑内障の治療はなかなか困難なものである。ことに手術治療にいたつては,これまでは単性緑内障に準じて手術が行なわれることが多く,術式の選定はともかくとして,若年者眼球の解剖学的,生理的な特徴に考慮が払われないまま手術がなされるために,術後の成績もよくない。1回の手術では眼圧の調整がうまくゆかず,2,3回と再手術される例が多い。著者らは先天緑内障(晩発型)の1家系を調査し,その特異な眼圧について報告した1)。その後,これらの症例の手術治療を行なうにあたつて,若年者眼球の特徴に考慮を払い,6例11眼に濾過手術を施行した結果,興味ある成績を得たので報告する。
元来,濾過手術の成績は,年齢の若い者ほどよくないと言われている2)。すなわち,高齢者ではテノン氏嚢がうすくなるため,水胞がよく形成されるのに対して,小児,若年者では,テノン氏嚢が厚い3)ために,水胞の形成が悪い。また濾過手術の目安となる水胞がうまく形成されても,眼圧の制御されぬ場合がある。このような事実から,濾過手術におけるテノン氏嚢切除の降圧効果に及ぼす影響を,各症例について観察してきたので,それらの成績から若年者における緑内障の手術術式について検討してみた。
This paper presents the results obtained in 6 cases (11eyes) with congenital glaucoma of late onset in one family, which were operated on using the peripheral iridectomy with scleralcautery (Scheie's procedure). The indication of this filtering operation was depended on the clinical findings that the function of Schlemm's canal would not completely damaged, and which are based on the normal range of the IOP during the night regardless of the high IOP in the day time, also based on the positive blood filling phenomenon in Schlemm's canal during the low phase of diurnal variation.
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