臨床實驗
梅毒性眼疾患の驅梅療法(第Ⅰ報)—シユワルツマン濾液,ペニシリン,砒素,蒼鉛併用療法
小原 博亨
1
,
友松 實枝子
1
,
澁谷 聰
1
1名古屋鐵道病院
pp.32-36
発行日 1954年1月15日
Published Date 1954/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201713
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最近,シユワルツマン濾液或はチフスワクチンが單獨或は併用の型で驅梅療法に取り上げられている。シユワルツマン濾液としては小堀,池永兩氏の腹チフス菌培養濾液と釜谷氏のコンムニン療法があり,腹チフスワクチンでは渡邊氏の報告がある。併し乍ら未だ其の作用機序や其の効果には末解明の點がある。他方,ペニシリンが驅梅療法に登場して副作用の無い點と治療期間の短縮と云う點に於て優れCurtis et al.等のFlocillin療法が推漿されているが,アメリカ以外のFloci-llinは小粒子性でなく大粒子性であるため砒素或は蒼鉛或は其の兩者との併用療法がアメリカ以外の國々では採用されている。
私共はペニシリン,砒素,蒼鉛,併用療法に更にコンムニンを併用したが吾々の期待に反して血清陰轉と云う事實は殆ど見られず,眼梅毒患者の血清陰轉と云う事の困難を痛感し更に適切なる方法を考究する必要を訴えたい。
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