特集 性病
ペニシリン驅梅療法
北村 包彥
1
1東京大學
pp.609-612
発行日 1952年11月10日
Published Date 1952/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200848
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ペニシリン驅梅療法の一般的なこと,我々の成績,これに關する感想等は既に何回かこれを公表した。
我々の經驗では,なるほど早期顯症梅毒の皮疹に對するペニシリンの效果には極めて満足すべきものがあり,後にも記すように硬下疳の潰瘍乃至硬結の乾燥乃至吸牧し,叉第2期疹の消失するに要する日數は砒素,蒼鉛療法に於けるものの半ばにも足りない。然るに潜伏梅毒の血清面への影響には重金屬療法の夫れを尠くとも凌駕するものは,我々經驗では存在しないようである。斯くして我々は早期皮疹に對するその效果をペニシリンの他の特色として輕微な,或は殆んど見られない副作用,從つて妊婦,小兒に容易に使用できる點等とともにこれを認めるにしても,患者數から見ても騒梅療法の大きな對象となる潜伏梅毒に對しては,依然砒素蒼鉛療法を捨てきれない心持ちである。
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