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マファルゾールによる驅梅成績に就て
西村 長應
1
,
出來 利夫
1
,
金澤 稔
1
1和歌山縣立醫科大學皮膚泌尿器科教室
pp.22-26
発行日 1950年1月1日
Published Date 1950/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200296
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1.緒言
本邦に於けるマファルゾール(以下マと略記)による驅梅成績に就ては既に可なり多數の報告があり,決して事新い事ではないが,我々が經驗した治療成績に就て其の概略を記述したいと思ふ。現在の驅梅方針は一定の術式によつて治療を行ひ,ワ反應等の血清反應によつて左右されてはならないと云ふ事である。即ち(1)サルヴァルサン劑特にマネオアルゼ,ベンツオール(以下サと略記)と蒼鉛劑との蓮續併用療法でなければならない事。(2)總ての患者は少なくとも40回のマ注射と30回の蒼鉛劑注射を受けなければならない事。(3)以上の注射が完了する前に血清反應が陰性となつても治療を中止する理由とならない事。(4)總ての症状がなくなつても少なくとも1年以上の觀察が必要である事。(5)驅梅療法は出來るだけ早期に且つ正確に行わなければならない事等である。マの性状,使用法,注射術式等に關しては既に市川教授共他によつて詳細に報告されている故之を省略する。マがサに比して優れている點は(1)量が少なくて効果が大である事。
(2)不快な臭氣が比較的少く且つ血管外に洩れた場合でも疼痛等の障碍が少ない事。(3)過敏症様症状及び顆粒性白血球缺乏症,重症サルヴァルサン皮膚炎等の重篤な副作用が僅少である事。(4)肝臓を侵す事が少ない事。(5)安定である爲注射時の繰作に便利な事即ち溶解後1時間を經過しても無害であり,氷室に貯藏さへすれば24時間は使用に堪え得る事等である。
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