特集 眼科臨床の進歩Ⅰ
ペニシリン驅梅療法
北村 包彦
1
1東京大學皮膚科
pp.818-821
発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201308
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驅梅療法にも抗生物質時代が來つゝある。即ちペニシリン驅梅療法の盛況がそれで,たゞペニシリン以後に出現した,新らしい抗生物質のオーレオマイシン,クロロマイセチン,テラマイシン等は驅梅劑としては現在はまだ試用品の域を脱してゐない。尠くとも我邦に於てはそう云つてよい。
ペニシリンは現在,驅梅療法の大勢はこれが使用に傾き,殊に腦神経梅毒に對してさえペニシリン單獨療法——勿論800-1,000萬の如き高單位を以てしての——をとらんとする人々もあり,又我邦でも最近早期並びに晩期梅毒に對する相當優れた,ペニシリン單猫療法の遠隔成績が次第に明かとなつては來たが,それでもその成績は從來の砒素蒼鉛療法を凌駕するとは云へない。否,ペニシリン單獨療法よりもペニシリン重金屬併用療法の方がいろいろの點で成績がよく,殊に晩期梅毒に就て然りと云ふのが,現在多くの有力な意見のようである。
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