臨床實驗
オーレオマイシンの結膜下注射による外傷性全眼球炎の治験例
荻原 武雄
1
1熊本大學眼科
pp.36-38
発行日 1954年1月15日
Published Date 1954/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201714
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外傷性全眼球炎は日頃しばしば經驗する疾患であるが,豫後は常に不良で早期に眼球内容除去を行うか又は自潰排膿して眼球萎縮におちいる。更に不幸な場合は炎症が眼窩内に波及して眼窩蜂案織炎を起したり,また轉移して化膿性腦膜炎を起すことがある等重篤な眼疾患である。近年化膿性疾患に對する化學療法の進歩と共に外傷性全眼球炎に對しても種々の抗生物質が使用されて來たが,ペニシリンが主であつた樣である。教室の稲用(昭27)はオーレオマイシンとヒアルロニダーゼを結膜下に注射することにより失明には終つたが,眼球内容除去を行うことなく比較的短期間に消炎せしめ得た外傷性化膿性虹彩毛樣體炎を報告した。私も最近比較的早期の外傷性全眼球炎を經驗しオーレオマイシンとヒアルロニダーゼの混合結膜下注射により失明を免れることが出來たので追加報告する。
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