銀海餘滴
食中毒の原因と種類
pp.424
発行日 1953年8月15日
Published Date 1953/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201569
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世間でよく腐敗した食物を食べて中毒を起したというが,良く調べると,之は食物中に中毒を起す細菌が附着していたのを,知らずに食べた爲に起る場合が一番多くこの種細菌にこも2つの型があり其の1は細菌が食物と一諸に口から這入つて體内で繁殖して中毒を起こすものを「傳染型中毒」と云い,サルモネラという中毒細菌群が之であり,其の2は或る種細菌が食物に附着して食物中で繁殖して毒素を作つたのを,知らずに食べて中毒を起こす場合で,之を「細菌型中毒」と呼んでいる。
ブドー球菌かボツリヌス菌がその代表的な細菌である。以上2つの型は食物を喰べてから發病するまでの時間即ち潜伏期は前者は普通に12〜24時間,後者では食物中に食前已に毒素が出來ているので發病も非常に早く,食後1時間から普通3時間,遲くれても6時間で中毒症状を呈する。第2の食中毒は食物中に自然に毒が含まれている場合で,その代表的なものは河豚,淺蜊,毒茸,毒芹,馬鈴薯の新芽等であり,第3は元來食物自身には少しも毒が無いがその加工,調理等の際に毒が混入附着する場合で,銅製の鍋を使つた爲緑青が出たり防腐劑,人工甘味料,着色,着香科を使用した爲に起きる食中毒である。
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