特集 食品衛生の新しい動向
食中毒の予防—食中毒の現況
伊藤 武
1
Takeshi ITO
1
1東京都立衛生研究所乳肉衛生研究科
pp.617-621
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900417
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■はじめに
食品に起因する急性の健康障害を食中毒と総称するが,食品媒介による赤痢やコレラの流行は経口伝染病として区別されているし,食品を媒介としたA型肝炎などのウイルス性疾患は行政上の対応からは食中毒としていない.食品衛生に対する積極的な推進とその啓蒙などにより食中毒も変貌を遂げてきたが,食生活の多様化,食品の国際流通の拡大,集団給食,外食産業の著しい発展など食生活の変化あるいは病原微生物の新たな発見により,さらに新しい問題が提起されてきた.ここでは現況の食中毒発生状況と問題視されてきたサルモネラや腸管出血性大腸菌食中毒,リステリア症と小型円形ウイルスによる下痢症についてふれる.
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