臨床實驗
再び球後視神經炎の再發に就て—特にその腹壁反射消失の意義
桑島 治三郞
1
1東北大分院眼科
pp.181-184
発行日 1951年3月15日
Published Date 1951/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200803
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球後視神經炎又は乳頭炎に前後して散在性腦脊髓症状を併發する疾患は,通常,視神經脊髓炎又は散在性腦脊髓炎と呼ばれるものに屬する。本症は時に數年或はそれ以上に亘つて症状の出沒を反復する場合があり,斯る臨牀經過と共にその病理組織的所見に依り,歐米に在つては本症を多發性硬化症の急性型と説く者が多い。
元來,多發性硬化症は日本及び支那には極めて稀れであるとされて來たが,若し視神經脊髓炎又は散在性腦脊髓炎がその急性型とするならば,本症の存在は我が國では必ずしも稀れでない。即ち視神經炎に脊髓症状の合併せる症例は,明治24年靑山教授の記載以來,河本教授(明治37),河本(軍)(明治43),宮下(大正2),初見(大正4),矢野(大正8)氏等の報告があり,最近は金子氏の視神經脊髓炎に關する發表以來,本症として報告される症例は獨り眼科領域だけに限らず,各科に於ても俄かに多きを加え,本問題に再檢討の要を痛感する。
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