〔Ⅴ〕私の經驗
漢方眼科に現はれた眼の構造に就て
本多 傳
pp.29-31
発行日 1948年2月1日
Published Date 1948/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200224
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
漢方眼科の最大の缺點は,眼球を解剖學的に詳しく觀察しなかつたと言ふ點で,之は現今に於ても中國に於けそ漢方醫は之に對して一瞥をも與へて居ないのは,要するに漢方眼科の眼疾の觀念が,全く内疾患の一部分症として發現せるものであるとの中國古代に發達せる自然哲學的思想に胚胎せる五輪八廓説を以て眼と五臓六腑との相配を論じ,陰陽五行,相生相剋を以て眼疾患の發生を論じたので,(拙著,内服藥より觀た漢方眼科的治療法參照綜眼第39卷6,7,8,9,10,11號)從つて之以上眼の溝遣に就て追求する必要は全然無かつたのである。然し飜つて遠く明代に刊行された眼科書を繙いて見て,余は彼等が眼球の構造に就て全然無關心ではなかつたといふ事實を見出したのである。以下之に就て少しく述べて見よう。
先づ目は神膏,神水,神光,眞血,眞氣,眞精の源液に依つて養はれて居るとして居る。
Copyright © 1948, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.