〔Ⅳ〕私の研究
近視に關する研究補遺
齋藤 孝德
1
1九州大學眼科教室
pp.26-28
発行日 1948年2月1日
Published Date 1948/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200223
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強度の近視眼球には明かに解剖的變化が認められるものであつて,之に就いては既に幾多の研究業績があるが,弱度の近視眼球の解剖的變化に關しては文献に乏しい。然るに弱度の近視眼に於てもその程度並に頻度は著しく減ずるけれども檢眼鏡的に強度の近視眼に於けるものと同様な眼底變化が認められることがある。そこで私は弱度近視眼球に於ける解剖的變化を研究の對稱として從來の近視に關する研究の補遺とすることとした。
扨て,所謂近視性眼底變化であるが,これは主として近視の眼底に認められるものであるが,可成り強度の近視であるに拘はらず之が認められないことがあり,反對に左程強度の近視ではないのに著明な眼底變化を呈する場合があつて,この樣な眼底變化の發生には何か素因といふものがありそうに思はれるのである。近視は遺傅するものであるといふことが一時稱へられて居たが今日では近視そのものの遺傅ではなく近視を發生し易い素質が遺傅するのであると云はれて居る。從つて近視性眼底變化の發生にも遣傳が關與して居るのではなからうかと考へられるのである。
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