綜説
特發性夜盲發現の機序に就て
中島 實
1
1名古屋大學眼科
pp.137-140
発行日 1949年4月15日
Published Date 1949/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200343
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後天的に起る夜盲の中で,明るい所では視力や視野に殆ど異常が無く且つ眼底にも普通何の變化も認められぬ特發性夜盲は,肝油其他ビタミンAを含む食物又は藥剤によつて速に癒るのみで無く,ビタミンA缺乏食を與える事によつて實驗的に之を起し得る事から,ビタミンAの缺乏に因る光覺の障碍であるという事に意見が一致して居り,誰も之を疑う者は無い。然しながらビタミンAが缺乏すればどうして光覺が障碍せられて夜盲が起るかという機序に就ては未だ必らずしも諸學者の意見が一致して居るとは限らない。
臨牀的には特發性夜盲は,結膜乾燥症のような他のビタミン缺乏の症状を伴うことはあるが,一般には他覺的症状を缺き,唯暗順應の進行が正常の人に比べて遲くなつて居るために,暗い所で感光度の増進が充分でなくて夜盲を訴えることになる。唯稀に眼底の周邊部に多數の白斑が現われたり,暗順應の進行が一定度で全く止つてしまうような例もあるが,之は寧ろ例外に屬する。
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