書評
《眼科臨床エキスパート》All About原発閉塞隅角緑内障
近藤 武久
1
1兵庫県予防医学協会
pp.1176
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410105347
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ここ十年余りの歳月の間に,原発閉塞隅角緑内障ほど大きな変革がもたらされたものは少ない。疾病の分類,名称に始まり,検査法,治療方針に至るまで大幅な変化がもたらされたのである。このような状況の下,新しい教科書,解説書が求められるのはけだし当然のことであり,本書の出版は誠に時宜を得た企画であるといえよう。
Fosterらにより提唱された新分類では,緑内障という名称は緑内障性視神経症(GON)の存在の有無をもってのみ定められるという考え方に基づいている。そしてGONを伴わない狭隅角眼は閉塞隅角症(PAC)とし,緑内障という名称が取り除かれた一群として取り扱われることになったのである。この分類法の詳細や問題点について,いろいろな角度から明快な解説がなされていている。加えて日本緑内障学会による「緑内障診療ガイドライン」の初版から第3版までの変遷も対比されていて,理解を助けてくれる。しかしながら,久米島での疫学調査の成績のみならず,緑内障の名称が除かれたとはいえ,原発性のPACは原発閉塞隅角緑内障(PACG)と同様,急性発作によって失明につながる恐れのある様態であることに変わりはなく,その継続的な管理が大切であることが強調されている。
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