書評
《眼科臨床エキスパート》All About開放隅角緑内障
根木 昭
1
1神戸大
pp.361
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410105153
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本書は,わが国の緑内障学の牽引者である山本哲也氏と谷原秀信氏の編集による開放隅角緑内障についての最新の知見をまとめた400ページ余の大著である。本書は医学書院による「眼科臨床エキスパート」シリーズの一巻であり,シリーズの方針は「臨床現場で要求される知識を,エキスパートの経験・哲学とエビデンスに基づく新スタンダードとして解説する」ことにある。この基本方針に加えて,「基礎と臨床の新知見をふんだんに盛り込み」,「患者の予後改善に役立つ知識を整理」することを目的として編集された。
内容は5章からなり,第1章の「総説」では山本哲也氏の豊かな経験に基づく緑内障診療のすすめかたの哲学と管理における着目ポイントが箇条書きに簡潔にまとめられている。第2章は「疫学と基礎」で,有病率やリスクファクター,遺伝要因や基礎的裏付けについて重要な情報が全体の約40%の紙面を費やして詳細に記載されている。第3章は「開放隅角緑内障の診断」について眼圧測定,眼底所見,視野検査の留意点とともに発展著しい光干渉断層計,視野解析方法の最新の知見が紹介されている。第4章は「開放隅角緑内障に対する治療」であり治療原則から新しい点眼薬やチューブシャント手術に至るまで実践的に記載されている。特に日常診療の主体である薬物治療に約50ページが割かれている。第5章では「開放隅角緑内障の生活指導とロービジョンケア」が症例を挙げて示されており,全体として現在の開放隅角緑内障管理のスタンダードのすべてが網羅されている。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.