特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅰ.診断編
2.隅 角
原発閉塞隅角症疑い,原発閉塞隅角症,原発閉塞隅角緑内障の診断のポイント
柏木 賢治
1
1山梨大学大学院医学工学総合研究部(医学部)眼科学
pp.42-46
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102916
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はじめに
多治見スタディの結果から原発閉塞隅角緑内障(primary angle-closure glaucoma:PACG)の有病率は0.6%で,開放型に比べかなり低いことが報告された1)。しかし,最近沖縄県久米島で行われている大規模疫学調査では,PACGの有病率は多治見スタディより高率で,日本国内でもかなりの地域差があることがわかってきた。また世界的調査の結果,有病率は原発開放隅角緑内障(primary open-angle glaucoma:POAG)が高いものの失明など重篤な障害をきたす症例はPACG眼に多いことも明らかになった。PACGの場合,治療により発症そのものを予防することが可能な症例が少なくないことから,PACGを適切に診断し加療することの重要性が認識されている。
緑内障診療の均質化や向上を目的として緑内障の世界的定義の統一が進んでいる。International Society of Geographic and Epidemiological Ophthalmology(ISGEO)が中心となり新しい緑内障の定義を提案した。その大きな特徴の1つは,緑内障とは,緑内障性視神経障害をきたした場合を定義するとしたことである。ISGEOはPACGに関する新しい診断基準も提案し2),日本においても日本緑内障学会がISGEOの基準に従って第2版の緑内障診療ガイドラインを発表した3)。現在この基準が世界の緑内障の標準的診断基準になりつつある。
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