--------------------
あとがき
寺崎 浩子
pp.832
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104749
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
厳寒の日本列島,寒さに震えていたところ,東京ではいきなり桜の満開の声を聴き,驚いているところです。本号が皆さんのお手元に届くころはどんな季節になっているのでしょう。もしかしたら,真夏日になっているかもしれません。
さて,本号ではREVIEWとして,皆さんの関心事であるiPS細胞(人工多能性幹細胞:induced pluripotent stem cells)の現状と将来について理化学研究所の万代先生に書いていただいております。動物のES細胞(胚性幹細胞:embryonic stem cells)を用いた研究はこれまでもたくさん行われ,神経網膜再生への道も探られていましたが,iPS細胞という自己の細胞から再生されるとあれば,急に現実味を帯びてまいります。ES細胞は,受精卵のある時期から作られた多能性をもった細胞塊で,動物において網膜前駆細胞を網膜下に移植したところ,本来の網膜組織に生着することがロンドンのグループから報告されています。もっと破壊された網膜への移植法を目指して立体的な網膜組織を分化培養されたことも報告されており,再生医療への幹細胞の可能性がすでに示されていました。したがって,iPS細胞でも同じことが期待されます。国家を挙げてのプロジェクトのなかで,まず最初のトライアルの適応として眼疾患(加齢黄斑変性)が選ばれたことは大きなチャンスだと思います。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.