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入学式の季節になりました。本年度の医学部定員は8,991人ということで,平成19年に比して約1,300人増加しました。定員100人の医学部が13校増えたことになります。しかし,教員の定数は増えませんから,大学教員の負担が増しています。新入生の30~40%が女性です。女性医師の労働環境を改善し,常勤ポストへの定着率を上げないと医師不足問題も解決しません。男女共同参画社会の実現が提唱されて久しいですが,いまだその実現は遠いです。そのあたりは本誌で連載されている「やさしい目で きびしい目で」の項で現実を垣間みることができます。女性医師の待遇改善は単に女性医師の問題ではなく,勤務医全体の環境改善に繋がるという視点でこの問題に取り組む必要があります。
眼科専攻医の減少傾向が続きます。新臨床研修制度が義務化される平成16年までは,新規専攻医の数はそれまでの4年間の平均で389人でしたが,平成18年度から激減し,昨年はついに183人と過去最低を記録しました。女性医師の比率は46%です。医師の大学院進学も減少しています。眼科医数全体としては,引退される眼科医数より新入の眼科医数のほうがまだ上回っているため累積人数は微増していますが,10年,20年してこれが逆転しだすと急速に眼科医は減少していきます。その頃は超高齢社会で眼科臨床は超多忙化することでしょう。眼科教育,眼科研究が心配です。教育,研究がなければわが国の眼科の発展はありません。今年から,日本眼科学会は医学生や初期研修医を対象に眼科の重要性やおもしろさを啓蒙する活動を強化します。このような活動が結実し,眼科学を目指す人が増えることを祈ります。眼科医全体で眼科の重要性を社会にアピールしていきましょう。
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