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あとがき
根木 昭
pp.124
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103530
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新年あけましておめでとうございます。本年も『臨床眼科』をよろしくお願い申し上げます。昨秋,神戸で日本臨床眼科学会を主催させていただきました。7,200名を超えるご参加をいただき感謝申し上げます。また学会原著も多数ご投稿いただき重ねて御礼申し上げます。学会には招待講演演者として山中伸弥先生をお招きしました。眼科の学会では初めてのご講演でしたが大変好評でした。私の宝物といって,大学新卒の時から山中先生のもとで研究を続けている若い研究者を紹介されたことが印象的でした。ノーベル賞候補者にそこまで言われるとやりがいも出てくるでしょう。これを聞いた若い人はきっと,研究意欲を鼓舞されたものと思います。
近年,眼科専攻医の数は減少の一途であり,それに伴い大学院への進学者も減少しています。学位取得にかける時間が専門医取得を遅らせるということが大きなネックになっています。学位よりスキルを早く上達させたいという声を聞きます。眼科診療に卓越したスキルは重要ですが,それを適正に施行しさらに高めるためにはサイエンティフィックな思考の裏付けが必要です。12月号でも特集しましたが,分子標的薬や遺伝子治療,再生医療など,治療に直結するトランスレーショナルな研究が結実しつつあります。現に一部の領域では,新治療の登場により診療ガイドラインが短期間に一変することを経験しています。新しい治療成果を体現して,単にそれを追随するだけでなく,医療創造に夢を馳せる若者は多いはずです。研究志向の学生が少ないと嘆くよりも,基礎研究の必要性とその魅力を実感させる教育方法を我々が磨かねばならないと反省します。今年は卯年,眼科も大きく飛躍したいものです。
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