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はじめに
近年コンピュータ画像解析技術の進歩に伴って,種々の眼底画像解析装置が開発されている。検眼鏡や細隙灯顕微鏡を用いた一般的な眼底検査では,通常検者の主観に基づいて眼底所見を定性的に評価するが,熟練した検者間でも検査結果の不一致が少なくないという問題が指摘されている。一方,眼底画像解析装置の臨床応用により,視神経乳頭あるいは網膜神経線維層を定量的に,より客観的に評価することが可能となっている。走査レーザー検眼鏡は,弱出力レーザー光で眼底を高速に走査して眼底像を得るという眼底画像解析装置である1)。共焦点システムを用いた走査レーザー検眼鏡では,眼底からの反射光を検出する際,検出器の前に小孔があるため,点光源と共役な関係にある焦点の合った像のみを検出し,コントラストの高い鮮明な画像を得ることが可能である(図1)。また,照射光量が少なく,無散瞳での検査が可能な装置も開発されている。
スキャニングレーザーポラリメータは,生体眼における網膜神経線維層厚を定量的に測定するために開発された共焦点走査レーザー検眼鏡であり1),従来主に緑内障の診断に臨床応用されてきた。スキャニングレーザーポラリメータ(Laser Diagnostic Technologies社製)として,1990年代前半にNerve Fiber Analyzer2~6)が最初に導入されたが,その後ソフトウエアとハードウエアが改良され,GDx Nerve Fiber Analyzer(Nerve Fiber Analyzerの改良型)7),GDx Access(GDx Nerve Fiber Analyzerの普及型)8),GDx VCC(GDx Accessの改良型,現在Carl Zeiss Meditec社製)9~11)が順に導入された。本稿では,スキャニングレーザーポラリメータによる網膜神経線維層厚測定の原理,GDx VCCの概要,緑内障診断におけるGDx VCCの有用性,GDx VCCの利点と限界について述べる。
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