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Current Opinion
心不全の診断―BNPの有用性と限界
Clinical Significance and Limitation of BNP Measurement for the Management of Heart Failure
猪又 孝元
1
Takayuki Inomata
1
1北里大学医学部循環器内科学
1Department of Internal Medicine & Cardiology, Kitasato University School of Medicine
pp.1267-1271
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100927
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心不全の診断におけるBNPをめぐる最近の全般的な話題
BNPをはじめとするバイオマーカー研究の分野は,わが国のみならず欧米での一流学会でも主要テーマとして取り上げられる機会が急速に増え,常に多くの聴衆を会場に導いている.その背景には,高齢化社会における心不全人口の急速な増加とともに,ACC/AHA慢性心不全ガイドライン(2005)1)での病期分類Stage A/Bで代表される予防的戦略の拡充があり,プライマリケア医を含めた広範な診療スタッフの動員が必要とされているからに他ならない.すなわち,数値のみで表わせる簡便な臨床指標の浸透が期待されているわけである.
血中バイオマーカーの意義には,一般的に①疾病スクリーニング,②鑑別診断,③疾病リスク評価,④治療ガイド,が挙げられる.BNPに広く心疾患全体のスクリーニング・ツールとしての有用性があるかは,住民検診の分野を含め現時点で意見の一致には至っていない.Framingham Offspring Study非心不全住民を用い,平均5.2年間の前向き予後追跡でのBNPの予後予測検討が最近報告されたが,「BNPの正常値」を考えるうえで興味深い.遠隔期心疾患発現の80パーセンタイル値が,使用されたShionoRIA測定系での公表「正常値」(18.4pg/ml未満)と,はからずも近似していた2).さらなる同様な検討を待ちたいが,冠動脈疾患を除く3)一定のスクリーニング効果を有するとの見解が一般化しつつある.
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