特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅰ.診断編
3.視神経乳頭
OCTによる網膜神経線維層厚測定の意義
大久保 真司
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系視覚科学(眼科学)
pp.117-121
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102933
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原理と実際
緑内障においては,対応する視神経乳頭や視野の変化を伴って進行性に網膜神経線維および網膜神経節細胞が非可逆的に消失していくことが知られている。また,最も臨床的に認識されている構造的な変化は,全体的または局所的なリムの菲薄化と乳頭陥凹の3次元的な拡大である。したがって,緑内障を検出し経過観察を行うためには,視神経乳頭とその周囲の網膜神経線維層を検査することが重要であると考えられている1)。
網膜神経線維層の菲薄化は乳頭陥凹の拡大や視野障害に先行する2,3)とされているので,網膜神経線維層の菲薄化を検出することは,早期緑内障を検出するために有用と思われる。光干渉断層計(optical coherence tomograph:OCT)は,非侵襲的に網膜の微細構造の評価が可能であり,網膜神経線維層の定量的測定も可能となった。OCTは,硝子体側から,高輝度の部位を認識して網膜神経線維層厚として計測している。具体的には,前面は硝子体と網膜神経線維層の境界面を,後面は網膜神経線維層と神経節細胞層の境界面を認識して網膜神経線維層厚を計測する。
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