特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅰ.診断編
3.視神経乳頭
HRTによる乳頭形状評価
齋藤 瞳
1
1東京大学医学部附属病院眼科・視覚矯正科
pp.104-108
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102930
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はじめに
近年,多治見スタディなどの大規模眼科検診の結果,緑内障の有病率が従来報告されていたよりもはるかに高いことが示され1),緑内障の診断そして管理がよりいっそう重要となっている。また,多治見スタディで示されたように,日本人の緑内障の70%以上が正常眼圧緑内障であることから,緑内障の診断を眼圧に頼ることはできず,精度の高い視神経乳頭変化の評価が要求される。視神経乳頭形状の評価は直像鏡や前置レンズを用いた診察により行われてきた。しかし,緑内障性変化を示す視神経乳頭陥凹拡大や視神経萎縮の所見を正確に捉えるのは必ずしも容易ではなく,診察している医師の経験値や専門性にも大きく左右されることが知られている。また,診察による視神経乳頭評価は定性的であり,経年的な変化を追っていくうえでの定量的評価には不十分である。
視神経乳頭形状をなるべく自動的に,そして定量的に解析する目的でHeidelberg Retina Tomograph(HRT)Ⅰが開発された。現在は,オリジナルのHRT Ⅰにさまざまな改良が加えられ,最新モデルであるHRT Ⅱ ver 3.0もしくはHRT Ⅲが発売されている。本項では,HRTの撮影原理,測定結果,HRTによる緑内障診断などについて触れていく。
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