文庫の窓から
『太平聖恵方』
中泉 行弘
1
,
林 尋子
1
,
安部 郁子
1
1研医会
pp.1542-1545
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102881
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宋・2代皇帝大宗の勅命の医書
北宋(960-1127)の初年,政府は太医署(後に太医局と改称された)を設置し,ここが医療行政や医学教育の核となっていた。国の基盤が安定するに従って医書の編纂事業も進められ,第2代太宗(939-997)の時には『太平聖恵方』100巻(992)が成ったのである。医学教育には『難経』『素問』『諸病源候論』『太平聖恵方』が使われるようになって発展し,医学教育や医官の制度に組み込まれる地域は中央から地方へと広がっていったとみられる。
『太平聖恵方』については,本誌57巻9号(2003)に「『太平聖恵方』所載の眼病名の種類」というタイトルでご紹介している。所蔵の本の詳細についてはすでにご報告済みなので,今回はさらに別の視点からこの100巻の医書をみていきたいと思う。
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