文庫の窓から
『内経太素』
中泉 行弘
1
,
林 尋子
1
,
安部 郁子
1
1研医会
pp.1346-1347
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101866
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道家の編んだ『内経太素』
岡西為人の『中国醫書本草考』の2番目には『内経太素』が挙げられている。この本は唐の時代,楊上善が編集し註釈をつけたもので,『素問』と『針経(霊枢)』という2つの書物をまとめ,医学の理論を体系的に論じている。楊上善は,林億らが隋の人と誤って伝えていたようだが『道徳経広聖義』(901)という書物に「太子司議郎 楊上善 高宗時人 作 道徳集注真言二十巻」と出ており,道家の説を奉ずる唐時代の文人だったらしい。
わが国においては『内経太素』は,700年代の中頃には請来されていたようだ。大宝元年(701)に医生,針生の本として,『素問』『黄帝針経』『脈決』『明堂』が指定されていたのが,半世紀後の天平宝字元年(757)には,医生は『太素』『甲乙』『脈経』『本草』を,針生は『素問』『針経』『明堂』『脈決』を学ぶようにと勅が出されている。
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