今月の表紙
多発消失性白点症候群
山口 純
1
,
中澤 満
2
1北里大学眼科
2弘前大学眼科
pp.269
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102617
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症例は47歳,女性。2007年6月に右眼の中心部の見づらさを感じ,近医を受診後,当科を紹介されて受診した。視力は右0.08(0.4),左0.2(1.2),眼圧は正常で左右差はなかった。眼底所見では,右眼の網膜深層に,眼底後極部から赤道部にかけて1/4~1/3乳頭径の境界不鮮明な白色滲出斑が多数散在し,視神経乳頭は境界不鮮明で腫脹・発赤を呈していた。左眼に異常所見はなかった。フルオレセイン蛍光造影検査では,滲出斑は造影早期にはwindow defectによる過蛍光,後期はstainingによる過蛍光を示し,視神経乳頭は後期に過蛍光を示した。インドシアニングリーン蛍光造影検査では,後期になると滲出斑と一致する境界明瞭な低蛍光がみられた。また,網膜電図の減弱,眼球電図でのL/D比の低下,Goldmann視野計による視野検査での中心暗点・Mariotte盲点拡大も生じていたが,約1か月後には自然経過にて視力0.1(1.0)となり滲出斑がほぼ消失したため,多発消失性白点症候群(multiple evanescent white dot syndrome:MEWDS)の典型例と考えられた。
撮影はHeidelberg Engineering社製の共焦点レーザー検眼鏡(Heidelberg Retina Angiograph 2:HRA2)を用い,レンズは画角55°のワイドフィールドレンズを使用した。造影後期になると全体的に暗くなるので,低蛍光・過蛍光を表現するために輝度とコントラストに注意しながら撮影を行った。
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