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あとがき
坂本 泰二
pp.1212
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102336
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本年5月より,歴史と伝統のある本誌の編集委員を務めさせていただくことになりました。力不足であることは十分に認識しておりますが,本誌の発展のために精一杯努力いたしますので,よろしくお願いいたします。
さて,先日ある小説家が,医師が「患者様」と呼ぶのは偽善的で良い印象をもてないと書いているのを読みました。小説家はとりわけ言葉に敏感ですので,「患者様」という呼称の裏にある何かに気付かれたのだと思います。その何かについては長くなるので述べませんが,「患者様」と呼ぶようになって,診療が難しくなっている面が出てきたことは否めません。例えば,「患者様」が自己の満足のためにどこまでも要求することを是と考える人は,明らかに増えています。旧来のパターナリズムによる医師と患者の関係に多くの問題があったことは認めますが,医師と患者はどちらかが上位に位置するものではないはずですし,医療には限界があることは理解してもらわなくてはいけません。「患者様」という呼称には,患者側にその点を勘違いさせる作用があるようです。
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