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あとがき
坂本 泰二
pp.1042
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102776
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5月のゴールデンウィーク後に,この原稿を書いていますが,新聞・テレビでは新型インフルエンザ関連の報道が盛んにされています。人類の歴史は,感染症との戦いの歴史であったといっても過言ではないでしょうけれど,人類はまた新たな敵と戦うことになりました。医学は社会を基盤に成り立つ学問であり,その変化に伴い研究内容は大きく変化します。しばらくは,新型インフルエンザ関連の研究が,医学界のトピックになるでしょう。
一方,眼科関連のトピックはどうでしょうか。それを知るには,学会に出席して,講演を聞くのが1つの方法ではありますが,学会でまとまって講演を聞くのはなかなか困難です。また,それがどれだけ頭に残るかというと,はなはだ疑問です。そこでそれを補うために,本誌にある日本臨床眼科学会講演集の原著を読むことをお勧めします。内容は1例報告が多いですが,それぞれが日本の眼科の現状をよく反映しています。例えば,23ゲージ硝子体手術後の眼内炎の1例報告は,世界的な問題になっている小切開硝子体手術後眼内炎がわが国でも発生していることを示していますし,インフリマキシブの使用経験報告は,世界中の医学を席巻している抗体医薬治療がわが国の眼科でも臨床現場に入ってきている事実を反映しています。さらに,それぞれの報告では,わが国で現在使用可能な方法が具体的に述べられており,英文誌を読むことでは得られない情報が多く含まれています。そして,何よりも日本語で書かれているので,読むのに抵抗が少ないのではないでしょうか。本誌を読まれるときには,そんなことも考えて読まれるとよいのではないかと思います。
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