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あとがき
坂本 泰二
pp.244
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213481
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現在は2019年師走,今年も残すところ2週間になりました。便利な時代になったもので,現在インターネットを通じたFMテキサスのクリスマスチャンネルから流れる音楽を聴きながら,拙文をしたためています。
今月号の特集はロービジョンについてです。1980年代までは,失明者発生数が今よりもはるかに多かったにもかかわらず,ロービジョンに関しての活動は活発ではありませんでした。眼科は目の病気を治すための診療科であり,失明後は本人自身の責任でどうにかすべきだという意見が強かったと聞きます。また,ロービジョン者に対する方策も限られており,眼科医はほとんど何もできなかったのも事実です。その結果,ロービジョン者や家族は,社会から離れてひっそりと生活していくことを余儀なくされていました。しかし,最近になって健常者と障碍者との共生社会の重要性が理解されるようになり,障碍を抱えた人々の社会適応方法の研究が進み始めました。ロービジョンへの対策もその一環です。今回の特集を読んでいただくとわかるでしょうが,ロービジョン者へのリハビリは,大きく進歩しています。また,社会適応の方法も広がっています。つまり,ロービジョン対策は,眼のリハビリといった技術的問題から,社会が患者を受け入れ,また患者がいかに社会に適応するかという広範な問題を含むのです。ある意味では,それぞれの社会の成熟度も問われるテーマであるともいえます。
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