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あとがき
坂本 泰二
pp.268
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410215108
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私は現役編集委員中で最も長い任期を務めさせていただいております。毎年12月になると,私があとがきを書くことが定例となっており,その度に執筆を通じて思いを綴っております。この長きにわたる経験を通じ,現在強く感じているのは,世界の最先端治療が飛躍的に進展している一方で,日本の医療が大きく遅れているという危機感です。
その原因は複数考えられます。まず挙げられるのは,日本の経済力の低下により,高額な治療を実施する余裕がなくなったことです。例えば,数千万円かかる眼科遺伝子治療薬の登場に驚く向きもありますが,これが広く一般の疾患にも適用されつつある海外の現状を考えると事態はいっそう悪化すると思われます。公的な保険制度では十分に賄えない可能性もありえます。
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