特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例
Ⅱ.術後合併症の予防と対処
囊胞様黄斑浮腫
太田 一郎
1
1眼科三宅病院
pp.149-154
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100806
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傾向
囊胞様黄斑浮腫(cystoid macular edema:CME)は,種々の眼内炎症疾患に合併するが,白内障手術など眼内手術の術後にも生じる。CMEはIrvine-Gass症候群とも呼ばれ,かつて白内障手術の主流だった水晶体囊内摘出術や囊外摘出術でなされたもの,また硝子体脱出など術中合併症を生じた症例では発症しやすい。CMEは重症となると視力が0.3以下にまで低下するが,軽症のものは無自覚のものもあり視力予後もよく見逃されていることも多い。
CMEが発生する疾患は多い。ぶどう膜炎,糖尿病網膜症,網膜静脈閉塞症,網膜色素変性症,眼内腫瘍の疾患や白内障や網膜剝離など外科的な損傷が加わった状態にみられることから,CMEの発生には血液眼関門の障害が影響している1,2)と考えられる。
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