特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例
Ⅱ.術後合併症の予防と対処
後発白内障
林 研
1
1林眼科病院
pp.142-147
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100805
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傾向
1.後発白内障の種類
後発白内障は,白内障手術後の合併症としては最も頻度が高い。組織学的には,水晶体上皮細胞の眼内レンズ上への進展による膜形成,前後囊下の線維組織形成(線維化),水晶体線維細胞の再生によるSoemmering環やそれに続発するElschnig真珠などがあるが,すべてを含めると必発である。ただし,後発白内障が臨床上問題になるのは混濁が瞳孔領に及んだ場合であり,後囊混濁と呼ぶ。
後発白内障のうち最初に起こるのは,水晶体上皮細胞のレンズ上への進展による膜形成である(図1)。術後数日で細胞が紡錘形に変化して,前囊切開縁からレンズ上へ進展して膜状になる。膜はほとんどが細胞成分であるが,細胞外基質も含んでいる。ハイドロジェルなどの親水性レンズによくみられるが,他のレンズでも起こる。瞳孔領まで進展することは少なく,通常視機能には影響しない。また,時間とともに退縮するが,一部は残存する。
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