症例
発生母地が胎生期遺残物と思われる原発性外陰癌の1例
高橋 秀子
1
,
松元 隆
1
,
越智 博
1
,
木花 敏雅
1
,
矢野 樹理
1
,
西 睦正
2
,
植田 規史
3
,
松浦 俊平
1
1愛媛大学医学部産婦人科
2松山市民病院産婦人科
3愛媛大学医学部病理学第一
pp.350-352
発行日 1996年3月10日
Published Date 1996/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902460
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原発性外陰癌の中でも腺癌はまれな組織型であるが,その発生母地としてこれまでに3例の報告しかされていない胎生期遺残物由来と思われる外陰部腺癌を経験した.症例:71歳,会陰正中部に直径1.5cmの腫瘤を認め,単純外陰切除術を施行,高分化型腺癌の病理診断を得た.その発生母地は解剖学的位置によりバルトリンおよびスキーン腺は否定的であり,外方発育性で間質浸潤に乏しく皮下粘液腺や皮膚付属器との関連も認められないため,小前庭腺および皮膚付属器由来とも考え難く,腫瘍の腺上皮が周囲の扁平上皮と移行する像も認めることより胎生期遺残物と推定した.一般に外陰癌は予後不良であるが,胎生期遺残物由来の外陰部腺癌は高分化かつ予後がよいという報告があり,自験例でも同様であった.従来の報告および自験例より胎生期遺残物由来の外陰部腺癌では縮小手術の可能性が示され,外陰部腺癌の発生母地を推定することは治療法を選択する上で重要であると思われた.
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