Japanese
English
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Paget病の母地より発生した扁平上皮癌の1例
SQUAMOUS CELL CARCINOMA FROM PAGET'S DISEASE (CASE REPORT)
大野 文夫
1
,
田辺 泰民
1
,
梶尾 克彦
1
,
竹中 生昌
1
,
茶幡 隆之
1
F. OONO
1
1広島大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Hiroshima University School of Medicine
pp.289-292
発行日 1963年3月1日
Published Date 1963/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203475
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I.緒言
Paget病が他の幾多の疾患と共に癌前駆症として癌性変化を来たすことはしばしば見られる通りで極めて慢性の経過をとるが,対症療法も効なく予後は一般に不良とされている。歴史的には1874年Pagetが乳房部における特異な湿疹様変化に癌の発生を見たのを最初とするが,その後乳房以外にも発生することが明らかとなり,外陰部,腋窩,背部,顔面などの諸所に見られその中でも外陰部及びその附近が最も多く,北村・森岡によれば乳房外Paget病の約70%を占めている。そして乳房におけると同様に癌を併発することが文献的にも認められている。本症の最初の皮膚変化と癌発生の関係については,深部に潜在する癌腫(乳癌等)の皮膚転移とするもの,又表皮細胞の癌性変化の一部がPaget細胞である等種々の見解があり,今日充分解決されていない。
最近我々は外陰部Paget病の1例について放射線治療を行うと共に,その病理組織学的変化を観察していた所発病以来4年にして明らかな癌性変化を来たした症例を経験したので報告する。
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