症例
腹膜偽粘液腫の3症例
小屋松 安子
1
,
松尾 憲人
1
,
横山 正俊
1
,
中村 聡
1
,
岩坂 剛
1
,
杉森 甫
1
1佐賀医科大学産婦人科
pp.346-349
発行日 1996年3月10日
Published Date 1996/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902459
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腹膜偽粘液腫は,原発巣や悪性度のいかんを問わず,粘液性細胞が分泌したゼリー様物質で腹腔内が充満されるまれな疾患である.その病因病態について不明な点が多く,治療法も定まっていない.われわれは粘液産生組織の悪性度が異なる3例,すなわち境界悪性であったもの,腺癌であったもの,良性腺腫であったものを経験した.境界悪性例は,卵巣粘液性嚢胞腺腫で他院にて手術を施行,4年後に後腹膜腫瘍として再発したため当科において腫瘍摘出術を行い,境界悪性腫瘍と診断した.その後再び再発し,初発から9年後に死亡した.悪性例は開腹するも,腹腔内に原発巣の同定もできないほど一塊となった粘液腫瘤を形成し,腫瘍の摘出もできなかったため化学療法を行ったが,発症後約1年で死亡した.良性例は右卵巣原発の粘液性嚢胞腺腫が存在したが,術後15か月間再発を認めていない.
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