今月の臨床 不妊治療の進歩
男性因子と人工授精
29.機能性不妊への過排卵刺激—AIH療法
都竹 理
1
Osamu Tsuzuku
1
1都竹産婦人科医院
pp.474-475
発行日 1992年4月10日
Published Date 1992/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900826
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BBTが2相性で,卵管も異常なく,夫の精液も良好で,一見,すべてが正常であるにもかかわらず,どうしても妊娠しない,いわゆる機能性不妊の患者にしばしば遭遇する。このような患者に(排卵があるにもかかわらず)排卵誘発剤であるクロミフェンを服用させたり,クロミフェン—hMG,またはブセレリン—hMG-hCGを投与の上,AIHを行うとよく妊娠する。何故だろうか。BBTが2相性で,排卵があると推定される婦人のすべてが,十分量の卵胞ホルモン,黄体ホルモンを分泌し,それに反応して子宮内膜も発育し,成熟した卵が排卵されるのだろうか。
この間題を検討するため,一つの指標として,排卵期のエストラジオール値(E2値)と排卵後7日目(高温相の真中)のE2値とプロゲステロン値(P値)を測定した。筆者のところで,妊娠した周期に上記のE2値,P値を測定した患者は約500名いるが,その殆どは排卵期ならびに排卵後7日目のF2値は100pg/ml以上,P値は10ng/ml以上であり,それ以下は僅か5名であった。その5名もE2値は85pg/ml以上,P値は8.Ong/ml以上であった。ところが妊娠しなかった周期のE2,P値は,たとえ排卵があってもかなり低値のものが多く,E2値が40〜60pg/ml,P値が4〜6ng/mlなどざらであり,そのような場合でもBBTは2相性を示した。
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