臨床経験
当院における医学的適応を目的とした妊孕性温存療法の現状
森嶋 かほる
1
,
原田 美由紀
1
,
大井 なぎさ
1
,
矢神 智美
1
,
眞田 裕子
1
,
松尾 光徳
1
,
真壁 友子
1
,
矢野 倫子
1
,
宮下 真理子
1
,
原口 広史
1
,
金谷 真由子
1
,
秋山 育美
1
,
浦田 陽子
1
,
能瀬 さやか
1
,
廣田 泰
1
,
甲賀 かをり
1
,
平池 修
1
,
大須賀 穣
1
,
藤井 知行
1
1東京大学医学部附属病院女性外科
pp.1077-1082
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210170
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▶要約
若年がん患者に対する妊孕性温存の選択の機会が増加しているなか,当院では2012年から卵子凍結・胚凍結による妊孕性温存療法を行っており,2018年4月には妊孕性温存外来を開設した.
当院で2012年6月から2019年12月に妊孕性温存を目的に治療を行った症例は28症例42周期,平均年齢は36.4歳であり,卵子凍結では8症例・13周期で卵巣刺激を行い11周期で卵子凍結,胚凍結では21症例・29周期で卵巣刺激し27周期で胚凍結を行った.原疾患治療後に妊娠許可がおりて胚移植を施行したのが10例であり,5症例で妊娠成立した.
2018年4月から開設した妊孕性温存外来は,2019年12月まで19症例の受診があり,そのうち9症例で実際に治療を施行し,10症例ではカウンセリングの施行のみであった.
今後さらに他科との連携を高めて症例数を増やし,妊孕性温存によるがんサバイバーのQOL向上に貢献していく必要があると考えられる.
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