診療
若年がん女性に対する医学的適応による妊孕性温存の現状と課題
柴原 浩章
1
,
脇本 裕
1
,
浮田 美里
1
,
杉山 由希子
1
,
脇本 剛
1
,
浮田 祐司
1
,
福井 淳史
1
,
長谷川 昭子
1
1兵庫医科大学産科婦人科,兵庫医科大学病院生殖医療センター
pp.915-921
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000068
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集学的ながん治療により,悪性腫瘍患者の完全寛解率は著しく向上してきた。その一方で,性腺毒性をきたしうるがん治療により,医原性に性腺機能不全に陥ることを経験する。そこでAYA(adolescent and young adult)世代の若年がん患者に対し,将来の妊孕性温存という問題を考えサポートするための「がん生殖(oncofertility)」という領域が,わが国においてもここ数年来注目されている。この医学的適応による妊孕性温存が普及する現状に対し,日本生殖医学会は「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関するガイドライン」を,日本産科婦人科学会も「医学的適応による未受精卵子,胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存に関する見解」を発表するなどの対応を行ってきた。このように生殖医療専門医と腫瘍専門医との連携が以前と比べて密接になり,妊孕性温存に対する国民の認識は向上してきている。
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