症例
当院において腹腔鏡下仙骨腟固定術を施行し術前診断しえなかった卵巣病変を病理学的に認めた2例
吉新 明日香
1
,
山本 直子
1
,
秋野 なな
1
,
福田 晋也
1
,
真壁 友子
1
,
平野 茉来
1
,
浦田 陽子
1
,
泉 玄太郎
1
,
原田 美由紀
1
,
田中 麻理子
2
,
林 玲匡
2
,
池村 雅子
2
,
平田 哲也
1
,
廣田 泰
1
,
甲賀 かをり
1
,
平池 修
1
,
深山 正久
2
,
藤井 知行
1
,
大須賀 穣
1
1東京大学医学部附属病院女性診療科・産科
2東京大学医学部附属病院病理診断科
pp.873-877
発行日 2016年9月10日
Published Date 2016/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208865
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
▶要約
当院では骨盤臓器脱に対し腹腔鏡下仙骨腟固定術(laparoscopic sacrocolopopexy : LSC)を2013年より行っている.術前画像検査で付属器に異常所見を認めなかったにもかかわらず,LSCを施行した後に行った病理学的検索で卵巣病変を認めた2症例について報告する.
現在までに当院でLSCを行った31例中2例において,術前診断し得なかった線維莢膜細胞腫と漿液性囊胞腺腫・傍神経節腫を認めた.この比較的稀な2種類の病変は,いずれも悪性所見は呈しておらず,予後への影響の可能性は低い.しかし近年Kindelbergerらが報告した卵巣癌への移行を示す顕微鏡的な卵管所見なども考慮すると,今後LSCを施行する際は,整容的に優れたモルセレーターよりも,敢えて腹腔内播種の予防が担保される小開腹での回収式バッグを使用した検体回収の方法が望ましいと考えられた.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.